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3回目の比叡山巡拝(2)

大雨と雷の注意報が出ていたらしい。
ストームクルーザーはもってきたし、
登山靴には防水スプレーが充分しみ込んでいる。
土砂降りもいとわないぞという気構えで目覚めた。

午前2時、今回の宿坊である慈光院から外に出てみたら
雨は降っていなかった。
律院の庭で準備運動をしながら大阿闍梨様のお出ましを待つ。
大阿闍梨様は、白装束に半透明のカッパ姿。
懐中電灯がその中でほのかに光るのだが、
暗闇でお姿が浮かび上がる様は美しいのである。

雨は降ったりやんだり。高度をあげるにつれて、雲の中に入るので、
降っていなくとも身体は霧で濡れる。
急峻な登りを歩いて全身はほてっており、
本降りでなければレインウエアの上は脱ぎたいほど蒸し暑い。
真夏よりも、この時期のほうが体力を消耗する気がする。

三度目ということで、少しは慣れてきたのか、どの辺りを歩いているかがおぼろげながらわかってきたし、ペース配分もわかってきた。ただ、般若心経は半分も覚えておらず、それが口惜しい。

今回は途中の慈覚大師円仁廟へのオプションはパスして待機。
しかし、大阿闍梨様はなんと今回に限って行かれてしまった。

R0018412.jpg

根本中堂に到着後、健脚組は山頂まで登り、さらに大原の里と京都市内が遠望できるポイントまで歩き、そこからさらににない堂釈迦堂浄土院を巡って根本中堂に戻るルートを行くのだが、僕らは今回はなぜかバテバテで、ゆるゆるコースを選択。大阿闍梨様もゆるゆるコースの人の多さに驚いていた。

しかも、帰りはケーブルというていたらくである。
おかげで宿坊に早めに戻ることができ、シャワーも慌てずに使えたのはうれしかった。
前回は健脚組で、しかも先達の若いお坊さんが張りきっていつもより大回りをしたので、坂本の町に戻ってもずいぶんと慌ただしい思いをした。

R0018417.jpg

話が前後するが、山を下り律院まであと少しというところで、前をお坊さんが歩いているのが目に入った。みれば、回峰行らしきお姿。腰押しの従者を従え、その足さばきは速い。歩くというより跳ねるように日吉馬場(というメインストリートにあたる道)を下ってゆく。
回峰行らしき行者が律院に向かって印をくみ唱え出したところで、
僕たちより前を歩いていた巡拝者が路肩にひざまずくのが見えた。
ご加持を乞うているのだろう。後続の巡拝者達が次々にそれに続く。
行者は、それに向かって印を結ぶ。

僕らも走った。その列に並ばなければ。
千日回峰行の行者が結界である坂本を歩いてらっしゃる。
そんな偶然に遭遇できる奇跡。
それが今なのだろうと、走った。
身体の重さも、脚にのしかかる負担もまったく感じなかった。

列に並びひざまずきならが思った。
あの、『和楽』に載っていた、今9年目を迎える、ほらあの人だ。
お堂入りを済ませて、いま、赤山禅院を巡る赤山苦行に入っている星野改め光永圓道行者その人。

様子がいいのである。『和楽』2008年6月号113ページの写真そのものの格好だ。
雨をしのぐ装備は、こんななのか。
なんの葉でできた蓑なのか浅学にしてわからないが、
それは背中と肩を覆うばかりで、前身頃はほとんど無防備に近い。
これで雨中を歩いたら、雨露など凌げるはずもない。
身軽ということが第一義なのだろうか。

私たちにご加持をくださったあと、彼は足早に次の参拝場所へと小走りに向かった。
僕の中にはなんとも言えないありがたさが残り、
行者の満願をともに望む気に満ちたのだった。

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2008年06月24日 19:28投稿のページです。

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