朝起きたら、曇り空。
東の山並みから霧が上っていた。
最終目的地は法隆寺だが、途中、薬師寺にもいっておきたい。
唐招提寺は修復工事中ということなので今回はパス。
歴史の道とかいうのがあるのというで、とりあえず南下。
大安寺のバス停を過ぎてからその道に入ると、
なにやらお祭りっぽい。
寄ってみることにした。
ここは、南都七大寺のひとつに数えられる由緒ある寺で
偶然にも「がん封じ夏祭り」に出くわしたのだった。
なので、法要を受けることにした。
お堂にあがるなり、お清めの香をいただいた。
みると、皆さん、手のひらで受けて、それをこすり合わせ
身体の各部に触れている。それに習ってみた。
香は、SBカレーの粉みたいな匂いがした。
そう、ウコンとかなにやらが混合されているような匂いだ。
お坊さんの説法が面白い。わかりやすくて、下世話でもある。
こういうものなのだろうね。
信心と暮らしが、寄り添っている気配がした。
境内では、ミス奈良の撮影会も催されていた。
群がるのは、高齢者の愛好家。
この方達はいい機材をお持ちです。
ここには写ってないけど、一人だけ三脚にハッセルを乗っけたじい様がいた。
助手らしき従者もそばにいる。
笹酒をふるまうお嬢さんから一献受けて横をみると、
そのじい様が、僕に向かって、邪魔だ、退け、しっし、と苦虫顔でいう。
撮影会の邪魔をしてるつもりはないし、
そこは笹酒をふるまう場で、お嬢さん達はこちらを招いてもいた。
フォトジェニックじゃなくて悪かったが、失礼なじい様だ。
奈良には高名な写真家がかつていらしたが、
こういう勘違いしてしまった井の中の蛙のような手合もいるのだなあ。
そこから、しばらく西に進むが、しとしとと雨が落ちてくる。
それでも時々雨足は緩む。
やがて、朽ちかけた土塀に行き当たり、薬師寺に着いた。
僕がまず印象的に思ったのは、瓦が落ちかけ土壁の崩れた土塀だった。
前日の興福寺や東大寺でもそうだったが、奈良のお寺は敷地が広い。京都のお寺もそこそこ広いのだろうが、庭園として広がっているのに比べ、奈良では広場というか通路というか、平べったい土地が広がるばかりで、それが広さを印象深くさせている。
それよりも、今回の旅でいちばん感動的だったのは、
ここで、日光菩薩と月光菩薩に会えたことだった。
まだ上野の国立博物館に展示されているものだとばかり思っていた二像が、
長旅を終え戻っていて、
後背の取り付け作業が正に行われているところに出くわしたのである。
こうして観ると、改めて思うのだがやはり薬師如来を挟んで立つ姿が、収まりが良い。それに、後背がうしろにあって、それとのバランスも、やはり落ち着くものがある。
上野で観た時の、何だか心持ちがふわついたような、
得体のしれない不安が、すっと鎮まる気がした。
薬師寺で、思いもよらず菩薩に会えた僕は、
もう半分ふ抜けのようになってはいたが、
地図のないまま法隆寺を目指す。
なので、迷走。無駄に登ったり下ったり。
おまけに、雨足も時折強くなって、もうしっかり濡れまくり。
法然寺がみえ、その先を法輪寺方面に曲がり、法隆寺には昼過ぎについた。
古い造りなのか、聖徳太子の中国指向なのか、少し中国チック。
時間がないので、中には入らず帰路につく。
ここまで来て中を見学しないのかよとも思うが、
時間があまりないので、今回はルート状況の把握だけ。
ということは、また来る気か、自分。
ルートはこんな感じ。
今回借りたママチャリは、これ。
乗り始めて、ハンドルに変速スイッチがないのでシングルギアかと思ったら、途中でガクッと重くなる。むむ、整備不良かと思ったら、自動変速だった。
しかし、これ、つかえねー。
登りの途中で重くなったり、まあ、変速のタイミングがオタンコなのである。むしろ、シングルギアのままの方が走りやすいんじゃないかというシロモノだった。
山辺の道を自転車でとも思ったが、例えば桜井で自転車を借りて奈良市内で乗り捨てるということができるレンタサイクルがない。それだけの距離をママチャリで走る人はいないだろうという想定なのか。いや、たくさんいるはずだと、僕は思うのだが。